山麓王国

No.129

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ことしはたぶんどこもお祭りさかんだとおもいますが、ぼくは大阪の八尾に住んでいたことがありました。

八尾というのは河内音頭の本拠地で、ちょっとヤンチャなのはやぐらの内側で「飛び河内」というカロリー消費の激しい踊りをして、やぐらの外側ではおっとりした老若男女踊れるのをやってる。

石田長生はギタリストで、charという日本を代表するギタリストの相棒を務めるような技巧者で、八尾出身でした。

ぼくは当時八尾のショットバーに通う阿呆な道楽者で、そのバーでブルースバンドをしてたんですが、あるとき店に行くと、先輩が「おい、この人知ってるか」という。

「んー?」というと、「石田長生さんやがな!」と興奮気味にいわれて、ああ、すごい人やんかと。
八尾出身の人だから、たまたま帰ってきてて、適当なバーに立ち寄った、ということなんでしょう。

ちょうどそのときは妹も後で合流して飲む予定だったんですが、ともかくぼくは酒飲みなので、長生さんとわあわあしゃべってるうちにべろんべろんに酔っ払い、妹も合流してこれもまた酒飲みで、次第に明るい酒ではあるけども乱れてくる。

「長生ちゃん! 帽子かして!」
「長生ちゃん! 一緒に写真撮りましょっ!」

悪魔のような酒乱の兄妹が、文句のいえぬ著名人を相手取り、妹が帽子をぶんどってぼくに長生きちゃんの帽子をかぶせ、ぼくと妹と長生ちゃんで写真を撮るという、いまからおもえば信じられぬような狼藉をはたらき、それでも長生ちゃんはなぜかうれしそうで、ご機嫌でしてね。
そのときはものすごくよい酒宴だったのです。

あれから15年ほどして、長生ちゃんがガンで亡くなったと知り、ぼくはそりゃあもう、いまでも落ち込んでます。

さて、AZUMIという、これも日本を代表するブルースギタリストがいて、この人の弾き語りは、完全なる憑依型。
予定調和的なものではなくて、その瞬間の空気から作品を生み出していくような、天才です。

大学時代に、伊勢の内宮のカップジュビーというカフェでライブをしていて、それを聞いて以来、いまもYouTubeで親しませていただいてるのだけど、そのAZUMIさんの、石田長生さんを憑依させた自家製河内音頭の一曲。



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