山麓王国

No.86

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原題「The Homesman」、邦題が「ミッションワイルド」。

トミー・リー・ジョーンズが監督と主演を務めた映画で、きょうアマプラで3回目をみました。

3回見て、3回気づきがある映画です。

ネットのレビューなどでは、ペラペラの感想や説明であふれてますし、どういう映画なのか、よくわからないという人がほとんどだとおもうんですが、ストーリーについてはネットを調べれば出てきますから、ぼくは説明されていない部分を書きます。

これはアメリカの西部開拓時代において、社会がイケイケの開拓精神や資本主義、男尊女卑の抑圧とそれを黙殺する風潮に堕している。その堕落はプロテスタント教会も例外ではなく、だれも本来の崇高な精神を顧みることはない、という骨格の話です。

ほんとうの善性をもった信仰の人が、ほかならぬ神に打ちのめされるような話で、この映画は西部開拓時代ではあっても、既存のアングロサクソン賛美の勇ましい西部劇とは真逆の、アングロサクソンの開拓史の暗部を暴くような構成になっています。


ぼくは先日、ビッグモーターの件で「経済」「経営」の経という字は、お経とおなじ語源で、道理を意味する、といいました。45

じぶんの生活を実践するには道理が必要で、お金を扱うにも道理が必要。

その道理は、わが国においては仏教の「経」が負担していて、近代資本主義の礎であるヨーロッパ、アメリカではキリスト教の敬虔さが、「金がすべてさヒャッハー!」みたいな実際主義的な暴走を止めていた。

……ところが、ほんとうは、止められなかったんですよね(笑)
止められているなら、現代にビッグモーターの問題などは起こりません。

資本主義はルール無用の奪い合いであり、主義を前にすると道理は踏みつけにされます。

西部時代のアメリカはみな開拓と資本主義に狂っていて、まっとうに信仰し、まっとうにお金を運用し、その地に根付いて生きようとする人を退屈だと言い、みななにか空虚な成功を夢見ている。

主人公のヒラリー・スワンクと、心を病んだ女性たち以外は、すべてがこの手の人間で、唯一小悪党のトミー・リー・ジョーンズが実際主義からすこし改心しかかるのですが、やっぱり最後は拳銃ぶっぱなしながら、資本主義と開拓精神の熱狂に戻っていくのです。

そのあたりがわかったうえであの作品をみると、みえてくるものがまるで違ってくるという、そういうタイプの映画です。

#与太話

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