山麓王国

No.1125

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1124
鴎外がもっと書きたかったのをおさえて書いたのではないか、というのは、ほんとうにそうだとおもいます。

ぼくもおなじことを考えていました。

ふつう物語は肉付けしていくものなんですが、もともと寒山寺に伝わっていた伝承を物語にするにあたって、極限まで徹底して引き算してますよね。

そのうえで、仏教の摂理に対して、つじつまが合うように仕上げています。

なにも参考にせずに書いた、といいますが、ギズモさんもおっしゃっていたように、かなり調べてから書いているようにおもえます。

鴎外はほかの小説では、ちょっとくどいくらい説明をするタイプの作家だったりします。

念押しのように説明を加えてくるので、読み手が想像する自由を失うと批評されているほどなんですが、寒山拾得に関しては、前知識なしではなにがなにやらさっぱりわからないくらい絞って書かれています。

すさまじいのは、『寒山拾得縁起』の最後のひと言でした。

「実はパパアも文殊なのだが、まだ誰も拝みに来ないのだよ」

鴎外は、じぶんの中にも仏性が宿っている、ということをユーモアを交えて、きちんと伝えているんです。

おとといから読解していくうちに、現代のぼくが理解している仏教理解に対して、ぜんぶつじつまが合う形でパズルがどんどんはまっていくものだから、これはどういうことなんだ、と不思議でした。

それだけ鴎外が緻密な、仏教のパズルをつくったということなのだろうとおもいます。

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