山麓王国

No.1482

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さっきの記事に追記をさせてください。



桜大刀自命の名前に、なにか記憶の引っかかりがあって、いまおもい出したんです。

折口信夫の『死者の書』という小説があります。これは難解な小説といわれるんですが、下地になっている物語を理解すると、取っ掛かりになります。

この物語は、當麻曼荼羅の中将姫伝説が下地になっています。

藤原鎌足の玄孫であるうつくしい中将姫は、継母にうとまれ、虐待を受けて家を追い出されます。

そして奈良の宇陀のお寺に身を寄せるのですが、非常にきびしい暮らしを強いられます。

そこへ父親が偶然通りかかり、姫に一緒に帰ろうというのですが、姫は「わたしはもう仏様に帰依して、ひたすら祈り続けたい」と言い、父はその願いを聞き入れ、娘を當麻寺に預けます。

しばらくすると姫の夢枕に仏が立ち、蓮の糸で曼荼羅を織るように託宣されました。

姫はお寺の者にそのことを伝え、各地から蓮の糸を集めて、一心に曼荼羅を織り上げました。その後姫は29歳で亡くなります。



『死者の書』では、まず最初に、半世紀以上前に非業の死をとげている大津皇子が目覚めるところから始まります。

死者である大津皇子は、目覚めたときに妃の耳面刀自(みみものとじ)のことを恋しくおもいました。

耳面刀自は藤原鎌足の娘です。



中将姫は藤原南家の娘、「藤原南家郎女」という名で登場します。

中将姫も藤原鎌足の血を引いていますが、大津皇子は郎女を耳面刀自と勘違いするんですね。

そして郎女が死者の霊をなぐさめるために曼荼羅を織る、という展開です。




ずいぶん長い前置きになりましたが、ここでようやく、耳面刀自が出てきました。

桜大刀自命にも、耳面刀自にも、おなじ「刀自」の名前がありますよね。

この刀自(とじ)というのは、年配の女性、それも宮中の女性への尊称、というような意味があります。

ポイントは、年配の高貴な女性への尊称ということです。



冨士山小御嶽神社の御祭神はイワナガヒメに加えて、桜大刀自命と苔虫命ですが、苔虫命は、年齢を重ねたイワナガヒメをあらわす、といいました。

で、桜大刀自命はコノハナサクヤの別名なんですが、おそらくこれは、おなじコノハナサクヤでも年配になった姿をさしているのではないかとおもうのです。

だから、桜という花に、大刀自(大がつくのは、身分の高さをあらわしています)という年配の女性をあらわす尊称をくっつけているでしょう。

そこで、なぜこの有名な姉妹の神が、年配のお姿でまつられているのか、ということが気になったのですが、そこはどうにもよくわかりませんでした。

以上、長くなりましたが、追記でした。

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